誤嚥には1、食べるときの誤嚥(顕性誤嚥)2、眠っている時の唾液誤嚥(不顕性誤嚥)に分かれます。

1、 食べるときの誤嚥

摂食・嚥下のメカニズムをみると口の中と喉の中の時期に大きく分かれます。喉の中は自分の意志では動かす事の出来ない反射運動(不随運動)で、この部分を強化・向上する事は難しいのですが、口の中は自分の意志で動かす事の出来る運動(随意運動)です。この口腔領域(顎・頬・口唇・舌)を食前の体操で強化・向上することで誤嚥しにくい状態で食塊が咽頭(いんとう)に送り込まれることにより咽頭部での気管内への食物の誤嚥を予防できることになります。

予防の食前体操には、①深呼吸3回、②首の運動、肩上げ(首を左右前後に動かして肩を上げてストンと落とし左右にカラダを揺らす)3回、③唾液腺のマッサージ(耳下腺は耳の下から顎の下、顎下腺は顎の下をマッサージする)5回、④舌の運動(舌を前に突き出し、口の周りを一周なめて、アッカンベーをする)3回、⑤口の運動(「イー」「ウ―」の口をする)3回、⑥頬の運動(頬に空気をいっぱい入れて5秒間膨らませ、頬をすぼめて息を吐く5秒間する)3回、⑦発声(「パンダのたからもの」と発音する)3回。⑧季節の歌(歌を歌う)、があります。特に、「パンダのたからもの」と発声する事は、パ行の発音は食物の取り込み・タ行の発音は食物の送り込み・カ行の発音は食物の飲み込み・ラ行の発音は舌をスムースに動かし食塊形成、以上の機能を維持・改善をはかり、誤嚥物を吐き出す力をつけます。

2、 眠っている時の唾液誤嚥

就寝中は各器官の反射機能は低下した状態で、嚥下反射の鈍くなった状態といえます。夜間眠っている時の口腔内の細菌→咽頭の細菌→汚れた唾液が気管内に侵入→肺に定着、誤嚥性肺炎の発症というメカニズムがあります。唾液を誤嚥して肺に細菌が侵入しても、免疫力がある元気な高齢者は定着・肺炎を起こしませんが、要介護高齢者は起こす可能性が高く、予防には特に就寝前の口腔清掃(口腔ケア)が気道感染予防にとても大切なことになります。

誤嚥の予防対策には専門的な口腔ケアのできる歯科医師に相談する事をお勧めします。