私たちは、普段特に意識すること無く息をしたり(呼吸)、ご飯を食べたり(食事・味覚)飲み込んだり(嚥下)、楽しくおしゃべりしたり(構音)、歌ったり(発音)、笑ったり・泣いたり(表情)、時には噛みついたり(道具・武器)しますが、これら全て「口」の成せる技なのです。専門的には、「口腔機能(こうくうきのう)」といいます。中でも、毎日の食事は生活の中心であるといっても過言ではないでしょう。しかし、加齢・疾病・障害によって、食べる事に問題が生じることがあります。食べて飲み込む動作である、摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)が出来なくなると、1、食べる楽しみの喪失 2、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)、窒息 3、脱水・低栄養 等が起こり易くなります。そのような事に直面した時、改めて「口」の大切さを知ることになります。この問題に対して適切な対処をすることが長寿に繋がり、結果として幸福に結び付ける要点となると言えるのではないでしょうか。

「食べられない」理由には、虫歯がある、歯周病で歯がぐらぐらしている、歯が抜けたままで入れ歯が入っていない、入れ歯は入れているが合わなくて痛い、先天的な病気や脳梗塞などの後天的な病気、加齢で嚥下反射が弱くなってしまうことでうまく飲み込む事が出来ない、ご飯を食べること自体が認知症等で解らなくなってしまっている、などが考えられます。

これらに対して、治療や指導を受けることでうまく食べられるようになる事もあれば、長い時間かけてリハビリをすることで少しずつでも飲み込めるようになることもあります。

食べるための訓練やリハビリは、様々な専門家が対応していますが、これから1年間、歯科医師の視点から「口から食べることで元気になろう!」というお話で、幸せな長寿へのお手伝いをさせていただきたいと思います。