前回はフッ化物洗口の全体について述べて行きましたが、今回は細かい部分にもふれつつ記して行きたいと思います。
口の中に用いられるフッ素は主に2つの有効性があると言われています。1つは歯を強くする歯質強化です。フッ素はフッ素イオンと言うかたちでカルシウムと反応しフッ化カルシウムとなります。そして歯の一番表層部であるエナメル質に結合します。これによりエナメル質はフッ化カルシウムに覆われて酸から守られます。2つ目は細菌が酸を作り出す産生能力を低下させると言われています。細菌は口の中にあるグルコースと言う成分を使って酸を作り出しますが、フッ素は細菌が体内にグルコースを取り込むことを阻害します。これにより細菌は酸を作ることが出来なくなります。またフッ素は細菌が持つ酵素の働きを邪魔するので菌が菌体外に酸を放出することも阻害します。
この薬効を利用して行われるのがフッ化物洗口で、これはフッ化ナトリウム溶液を用いてブクブクうがいをする方法です。では、実際にどの様に行われるのでしょうか。
洗口方法は、週一回法と週五回法とがあります。週に何回フッ化物洗口を行うかにより使用する洗口液の濃度を調節します。週一回法ではフッ化物濃度が900ppmの溶液を用います。週五回法ではフッ化物濃度が225ppm~250ppmmの溶液を用います。実際に行う前に水でブクブクうがいとそれを吐き出す練習をし、30秒から1分間うがいが出来るようにします。出来るようになったら、実際に行いましょう。まず洗口液を口に含みブクブクうがいをします。ガラガラうがいではないので注意しましょう。用いる洗口液の量は10mlで時間は1分間行います。就学前児の場合、口に含むことが出来る量が少ないことがありますので、5~7mlの量で時間も30秒から1分などと調整して行ってください。溶液を口に含みうがいをする際は、すべての歯に洗口液が行きわたるようにしっかりとブクブクうがいをしてください。1分間経ったら洗口液を吐き出します。洗口後は、口の中にフッ化物の作用が残っているので30分間うがいや飲食はしないようにしましょう。
洗口を行うタイミングですが、保育園ではお昼寝など午睡の前に、幼稚園、小中学校では授業の前に実施します。また家庭で行う場合は就寝前の歯磨き後が良いとされています。
むし歯予防のために用法、用量をまもり日常の中に取り入れて有効活用しましょう。