日常の中で当たり前で特に意識しない事はたくさんあると思います。口の中ではむし歯や歯周病について多く取り上げられますが、唾液については意外と意識する事は少ないのではと思います。そこで今回は唾液について考えます。
唾液は唾液腺と言う部分から分泌されます。これは耳下腺、舌下腺、顎下腺と言われる大唾液腺と、口唇や舌、頬の粘膜などにある小唾液腺と言われる部分が存在します。口腔内のあらゆるところから分泌されており、分泌量は1日およそ1~1.5リットルと言われ、起きている時、寝ている時では分泌される量も異なります。
唾液はただ単に口の中の水分と言う訳ではなく、様々な作用があります。
食事をする際には、食べ物を溶解して、さらに唾液中に含まれるアミラーゼと言う酵素が食物中のデンプンを分解し、飲み込みやすくする作用があります。これ等により胃などでの食物の消化を助けています。
また、抗菌、免疫と言った作用もあります。我々が生活するこの空間には様々な病原菌やウイルスが存在しますが、唾液の作用によりこれらを殺菌し、また増殖を抑える効果が期待出来ます。それにより肺などの呼吸器や胃、腸などの消化器を様々な感染から守っているのです。ただ口の中が潤っていないとこの効果が発揮できないので、このような唾液の作用はとても重要なのです。現在世界的に深刻な状態になっているコロナウイルス感染についても唾液は非常に大切なもので、予防にはなりませんが感染リスクを抑える役割を担っています。
そしてむし歯、歯周病を抑制する作用があります。前述したように唾液の抗菌作用で細菌の繁殖を抑えむし歯、歯周病を防いでいます。さらに、食べたものなどを洗い流す自浄作用、飲食などにより酸性になった口の中を元の状態の㏗に中和する緩衝作用、酸により溶かされかけた歯を修復しようとする再石灰化作用などがあります。
また、唾液が湿潤状態を保つ事で口の中の粘膜を保護作用もあります。 上記したように、唾液にはたくさんの作用がありますが、これらを有効に作用させるため、ブラッシングなどで口の中を清潔に保ち、バランスの取れた食生活や規則正しい生活習慣で健康管理を行っていく事がとても重要です。歯磨きも勿論大切ですが、あらゆる作用で健康を維持し我々の体を守ってくれている唾液についてあらためて考えてみてはいかがでしょうか。