歯並びやかみ合わせ(歯列咬合)は歯やお口の健康だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすと考えられています。しかし実際に歯列咬合の不正を治す矯正歯科治療は、ほとんどが健康保険の対象外であることや治療期間が長くかかることなどから費用の負担が大きくなってしまいます。できれば小さい子供のころに予防したいと考えるのは当然のことです。そのためには歯列や咬合不正の原因をなるべく早く解決し、少しでもよい状態になりやすいお口の環境を作っていくことが大切です。

あごの骨の成長、歯列の形や上下の歯の咬み合わせは、お口の周りの筋肉(舌、頬、唇など)がバランスよく使われること、あごのかむ動きや日常のいろいろな習慣などが関係していると考えられています。指しゃぶり、爪かみ、頬杖、悪い姿勢、うつ伏せ寝や口呼吸などは、あごの骨の変形や歯の位置を乱す外圧として作用することがあります。またお口の機能に悪影響を及ぼす可能性もあり、なるべく早期に改善しておく事をお勧めします。

口呼吸は鼻づまりから起因することも多く、鼻疾患など原因を解決したいものです。ただし慢性鼻炎などなかなか完治しないことがありますが、気長に構えて改善を図っていくと鼻呼吸が可能になる場合も多いようです。

また嚥下(飲み込む動作)時に舌が上下の前歯の間に出てきたり歯を押す動きがあると、前歯が咬み合わない開咬や前歯の傾斜が強くなる前突などになりやすくなります。嚥下は一日に10002000回行うと言われており、かなりの影響力があります。舌の先が上あごに付いたまま後ろに送り込んで飲むのが正しい嚥下です。

最後に歯の並ぶスペースが足りなくて歯がガタガタに並ぶ叢生(乱杭歯)も非常に多い歯列不正です。よく噛むことはあごの骨の成長に大切です。また乳歯をむし歯で早期に喪失すると永久歯の生えるスペースが失われることもありますので、歯磨きなどよい習慣を身につけることも大切です。