今回はフッ化物洗口の安全性について記していきたいと思います。

前回までは口の中でのフッ化物の作用や、フッ化物洗口の方法、フッ化物の量や濃度について説明しました。その中でフッ化物の有効性についても触れました。今回はフッ化物の安全性についてふれていきたいと思います。むし歯の予防にいいからと言って、ただフッ化物をたくさん摂取あるいは塗ればいいと言うものではなく、適正な摂取量を守りましょう。もし極端に過剰摂取を続けてしまうと“急性中毒”や歯の表面を形成するエナメル質が白く濁る“歯牙フッ素症”になったりする恐れがあると言われています。ちなみに“中毒”とは生体機能に悪影響が見られる事を言うもので、一時的な不快症状は中毒とは言いません。わが国ではフッ化物経口投与中毒量は、中毒量約5~10㎎/㎏、消化器症状は約3~5㎎/㎏で生ずると言われています。

少し難しくなりましたが、普段行われているフッ化物洗口の中のフッ化物濃度を中毒量に照らし合わせて見ると、到底その量には及びません。それを用いてブクブクうがいし、なおかつうがいの後はすべて吐き出す方法なので安全に行う事が出来ます。また、誤って飲み込んでしまった場合でも、もちろん中毒量には及びません。

歯牙フッ素症に関しては、前述したように過剰摂取を続けた場合に生じる事があると言われていますが、日常生活の中でそのような状況が整う事は皆無と言って良いでしょう。よってこの事に関しても心配なく安心してフッ化物を使用して頂けると思います。

またそれ以外にも、お子さんが歯科医院でフッ化物を塗ってもらうと言う事を経験された保護者の方も多いと思いますが、これに関しても安全な濃度、安全な量を用いるので心配なく活用して頂いて構いません。当然フッ化物配合の歯磨き粉も同様です。

これまでフッ化物洗口の特にフッ化物についての安全性について述べてきましたが、数値的にも使用方法からも安全かつ有効な物であることが分かって頂けたかと思います。よって、むし歯予防のためにも子供の時からフッ化物を用いたフッ化物洗口を有効活用し、むし歯のない楽しい食生活、明るい日常をおくれるようにしていきましょう。

(但しこれは薬です。当然使用する際は用法、用量を守りましょう。もし分からないことがあったら必ず歯科医師や専門家に確認しましょう。)