現在、喫煙について様々なところで様々な問題が取り上げられています。40年程前はあらゆる場所で喫煙が可能でした。電車やバスなどが例として挙げられるのではないでしょうか。しかし徐々に体への影響について議論されるようになり、最近ではあらゆる場所での禁煙が当たり前になってきました。
医科、歯科の分野でも色々な点で問題があるとして盛んに言われるようになっています。医科の分野では発がん性の問題について、また美容の面でも“しわ”や“しみ”などの因果関係が取りざたされています。さらに受動喫煙の問題も重要です。
歯科の分野において大きな問題になるのは虫歯と歯周病です。とくに歯周病に関しては様々な事が言われています。
歯周病の危険因子として、磨き残しにより生じるプラーク(歯垢)の蓄積、糖尿病、悪い歯並びなどがあり、喫煙もその危険因子として数えられます。では喫煙の何が問題なのでしょう?
タバコにはニコチン、タール、一酸化炭素など様々な有害物質が含まれています。これらには血管収縮作用や免疫細胞への悪影響がり、またタールは色素沈着という見た目の弊害を生じさせます。他にも約200種類もの有害物質が含まれると言われています。
血管収縮作用があると歯肉への血液供給が低下しそれに伴い栄養などが運ばれにくくなります。また歯肉の炎症反応と言われる、出血、腫れ、発赤などの症状が出ずらくなり病気の発見がおくれ歯周病が重症になってしまう事があります。免疫細胞への悪影響があると、歯肉にトラブルが生じた際の病気への抵抗性が低下し、同様に歯周病の重症化を招いてしまう事があります。タールはいわゆる“ヤニ”で、これは発がん性物質としも知られています。
むし歯に関しては、“ヤニ”などが歯の表面に付きそれに伴い細菌が付着しやすい状態になって、むし歯のリスクを高めます。また唾液の口の中を緩衝する作用も低下させてしまうので、汚れなどが停滞しやすくなり、さらにリスクを高めてしまうと言われています。
喫煙する方に話を聞くと“一服すると仕事がはかどる”とか、“リラックスできて気持ちが落ち着く”、などと言う事を聞くことがあり、それを考えると精神衛生上はいいのではないかと思いますが、ただ身体への為害性を考慮した時に、明らかに為害性の悪い点の方が大きく上回ってくるのです。
喫煙・禁煙の問題は個人個人だけの考えでは解決は難しいと思います。家族や友人、職場の同僚など周囲の人と一緒になって考え、日々の健康で楽しい日常生活を送って頂きたいと思います。