喫煙に関しては様々な問題が取り上げられていますが、歯科分野においては歯や歯肉への色素付着及び色素沈着という事も問題になります。

日常生活のなかで皆さんはコーヒー、紅茶、お茶、ワインなど様々な場所で口にする機会があると思います。現在ではこのような飲み物を簡単に手にすることができちょっとした合間に飲んでいる事が多々あると思います。勿論上記したもの以外にも様々な物がありますがこれ等は歯への色素の付着を生じやすいと言われています(口にする頻度、個人差により付着の程度は異なりますし、必ずしもそうなるとは限りません)。この色素付着が生じた場合、歯医者さんで歯のクリーニングをすることによりある程度は除去することが出来ます。

喫煙においては、いわゆる“ヤニ”と言うものがよく指摘されます。これが歯の表面に付着するとその部位が粗造な面になり、さらなる汚れの付着を生じ虫歯や歯周病などに関与することもあると言われています。

もう一つ言われているのが歯肉の色が黒ずむメラニン色素沈着です。これは喫煙や受動喫煙になどの影響を受けて生じると言われています。その他にも歯周病、人種、紫外線などの関与も考慮されています。歯肉のメラニン色素沈着は特に症状はありません。ちょっとした時に鏡などで歯肉をみたら黒ずんでいたと言うような感じです。特に意識しなければあまり気づかないかもしれません。但しここで問題になるのは、喫煙者本人もそうですが、いわゆる受動喫煙の影響でメラニン色素沈着を生じる事があると言う周囲の人の事です。例えば家族でヘビースモーカーの方がいるとすると、家族みんなが色素沈着のリスクがあると言う事です。幼児ぐらい小さくてもそのリスクは十分にあり得ます。

小児への影響を考慮した論文を見ると、親が喫煙者でその子供が受動喫煙により、その子の尿中のニコチン代謝産物である“コチニン”と言う成分を調べると、親が非喫煙者である場合と比べると何十倍も多く含まれていたと言う結果があります。これは子供の体内にそれだけ多くの喫煙関連成分が取り込まれていたと言う事を意味します。それらの成分はメラニン色素沈着を生じさせやすくしてしまいますが、それと同時に虫歯のリスクを高めたりするとも言われています。

喫煙は本人だけの影響にとどまらず、大切な家族への影響も考えなければなりません。改めてもう一度禁煙の必要性について検討してみてはいかがでしょうか。