歯科分野において、喫煙は様々な問題を引き起こす大きな要因の一つと言われています。むし歯、歯周病、歯肉の色素沈着などが挙げられます。また医科の分野でも同様に脳の疾患や心疾患、肺がんなどが挙げられます。さらには認知症危険因子としても注目されています。そして近年特に問題視されているのがあります。それは火のついたたばこの先から出る“副流煙”があり、この煙を吸い込んでしまう“受動喫煙”がと言う事があります。非喫煙者であってもこの煙を長期にわたって吸い続けることにより上記したような疾患のリスクが高まってしまうと言われています。

歯科においては、喫煙と歯周病は切っても切り離せない問題になっています。たばこに含まれるニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質は歯肉の血行不良を生じさせ、免疫機能の低下を引き起こし細菌などへの抵抗性を弱め、歯周組織悪化の流れを作り出し歯周病のリスクを高めてしまうと言われています。歯周病は口の中の問題にとどまりません。糖尿病、

妊娠中のリスク(早産、低体重児での出産など)、認知症など様々な疾患に影響を及ぼす事が分かっています。この中で最近認知症に関して話題になっている事があります。2017年5月の日本歯周病学会の中で、ある大学の研究グループが歯周病原細菌が作り出す物質がアルツハイマー型認知症に影響を与えると言う発表を行いました。歯周病患者の歯周ポケットと言う溝からは健康な人よりこの物質が10倍以上も検出されると言う事から、歯周病の早期の治療が必要と言う結論でした。よって、歯周組織の炎症性物質及び歯周病原細菌は脳内の様々な部位に悪影響を及ぼし、また悪影響を生じさせる物質濃度を上昇させてしまうと言う事になります。

認知症は、寝たきりの危険因子としても言われています。その他の寝たきりの危険因子は脳血管疾患や骨折など色々とあります。これらどの病気やケガは本人だけでなく家族やその周りの人々に大きな負担となり重くのしかかって来ます。

運動や脳を使うトレーニングなどあらゆる面で健康に心掛ける必要がありますが、まずは一番身近な所でお口の中の健康についてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。歯周病、むし歯を防ぐための毎日のブラッシングは勿論ですが、多くの方が“何とかしなくては!”と考えている喫煙の問題について改めてみんなで一緒に考えてみましょう。