文字どおり、口の中にできるがんを“口腔がん”と言います。がんは様々な部位にできますが、口のなかにも生じます。“がん”と言えば胃がんや肺がん、大腸がんなどがテレビ、雑誌などでよく取り上げられますが口腔がんもその中の一つです。

口腔がんは他の全てのがんを合わせた中で、全体の2~3%と言われています。数字だけ見るとかなり小さいですが、国立がん研究センターの2018年の予測数値を見ると口腔、咽頭領域を含めた罹患者数は年2万人を超えると言われています。口腔領域だけでも約1万人程度はいると考えられます。

口腔がんには発生部位によりいくつかの種類があります。舌に生じる舌がん、歯肉に生じる歯肉がん、舌の下側に生じる口底がん、頬の粘膜に生じる頬粘膜がん、上あごの硬い部分に生じる硬口蓋がんなどがあります。このうち最も多いのは舌がんで、口腔がん全体の6割以上を占めると言われています。

では、口腔がんの症状はどの様なものなのでしょう。初期では痛みや出血はなく白色や赤色の腫れが見られる場合があります。また、硬いしこりとして触れる事もあります。但し、はっきりとした自覚症状はほとんどの場合ないと言われています。口内炎と思ってしまったり、入れ歯を使用している方の場合、入れ歯の傷と間違えてしまう事もあります。進行すると自覚できる症状が現れ、しこりなどが大きくなりこぶ状の腫れとなって、そこに潰瘍を生じるようになります。それに伴い出血や悪臭が生じる事もあります。

口腔がんは他の部位に生じるがん同様、早期発見、早期治療がとても重要となります。上記したようにがんは初期症状がほとんどないため、発見が遅くなり歯科などの医療機関への受診もさらに遅れてしまいます。早期がんの5年生存率は90%ととても高い数値ですが、

進行したがんでは50%程度に落ちてしまいます。

そうならないために、普段から口の中の事に関心を持ちましょう。そして、一番身近な対策は日々のブラッシングなどで口腔内を清潔に保つ事と、定期的に歯科を受診し、むし歯や歯周病と同様にチェックを受ける事です。

松戸市では成人及び妊婦歯科健診、年一回の口腔がん検診を実施しております。これ等をうまく活用し、ガンへの備えとして下さい。