前回に引き続き、歯科と認知症について述べたいと思います。しっかりと噛んで物を食べることが脳に刺激となり、バランスのとれた食事をすることは脳を含め体の健康に繋がること、以上の事がうまく結びついて認知症の予防や進行の抑制に大きな効果の一つになります。

歯科においては、歯を失う原因としてむし歯、歯周病が主なものですが、これらを未然に防ぐ“予防”がとても重要になってきます。しかし、もし失ってしまった場合は早期の対応が大切ですが、その場合、どうすればいいでしょうか?前回でも述べたように歯の喪失は摂食、咀嚼と言った機能に大きな影響をもたらします。そうなると、“しっかり噛んで食べる”、と言う事に問題が生じます。これらの問題の解決策としていくつかの方法が挙げられます。

まず、一つは入れ歯(義歯)です。入れ歯には総入れ歯(総義歯)と部分入れ歯(局部床義歯)があります。欠損した状態により入れ歯の設計や形態が様々あります。また残存する歯や歯茎の状況によっても違ってきます。

二つ目はブリッジです。これは欠損した前後、あるいは両隣の歯を土台にして数本がセットになった差し歯をかぶせる方法です。これは入れ歯のように取り外しをするものではなく固定式です。装着感は入れ歯よりいいです。但し、差し歯にする際に健康な歯を削る場合があります。これには保険適応、保険適応外の物があります。

三つ目はインプラントです。これは欠損した部分の顎の骨に人工の歯根を埋め込み補っていく方法です。一本からの差し歯タイプのものや、数本からのブリッジタイプのもの、入れ歯タイプなど様々な物に対応できます。非常に有効な方法ですが、口の中や健康状態により適応出来ない場合があります。(保険適応外です)。     以上、ごく簡単に説明致しました。歯の欠損及び噛み合わせを回復する方法として、入れ歯、ブリッジ、インプラントと様々な治療法がありますが、処置後のブラッシング等のお手入れ、定期的なメインテナンスはどれも絶対に欠かすことが出来ません。認知症を含め、将来、もし仮に自分が病気になった時に適切な対応が出来るのかなどを考慮する必要があります。高齢化社会を迎えている今、すべての年代の方がしっかり再確認し、それぞれに合った治療方法で対策を講じましょう。そして日々の摂食・咀嚼、いわゆるしっかり噛んで食べる事を実践し、認知症などの予防を心掛けましょう。